学長日記
2010年7月 7日
学長日記のURL変更のお知らせ
2010年5月27日、広島工業大学のホームページをリニューアルしました。
ホームページリニューアルにともない、「学長日記」のURL(アドレス)は「http://www.it-hiroshima.ac.jp/about/president/blog/」に変更させていただきました。
お気に入りやブックマークなどに登録されている方は、お手数ですが設定のご変更をお願いいたします。
投稿者 : 茂里 一紘 | パーマリンク
2010年7月 5日
今年度の自校教育論を終えました
7月1日、情報学部・健康情報学科と環境学部・地球環境学科両学科の授業をもって、今年度の自校教育論の学長担当分を終えました。授業の実施には秘書室にお手伝いいただいていますが、「先生、今日が最後ですね。授業の模様を写真にとっておきましょうか」と訊かれました。「写真をつけて学長日記にお書きになったらどうですか」とのこと。「そうか最後か」と思い、したためました。


自校教育論授業風景
音楽では、奏でる者と聴く者とが一体となって初めて素晴らしい演奏会となります。いい授業も、教員と学生の思いが一つになって初めてできるというのが私の経験的持論です。そのような状況をいかに作るかが教員に問われますが、今回は「今日が最後」という私の思いと学生の何かとが合ったのでしょうか、「会心の出来」と言ってもいい授業でした。
講義の内容や進め方は、レポートに書かれた学生の感想や私自身の反省をもとに、毎回少しづつ改訂していきますが、今回はその上に環境デザイン学科の景山教授(数学担当)の意見に従って内容を工夫し、また注意深く進めました。景山先生からはかねてから「学長の講義を聞きかせて欲しい」という要望があり、前回の講義を聴いてもらいました。先生からは、「感想みたいなことですが」と題して、早速メールが寄せられました。「(私の)言葉自体が聞き取れない部分が多々あった」、「(学生の)レポート作成中は話しをしないで静かに作成させた方が良い」、また、「メモの取り方、レポートの書き方などについては初年次セミナーにも触れ、そこでの学びと関連づけるとよかった」、「話す言葉表現やたとえに注意しないと理解できないことがある」などの指摘がありました。このような経緯もあって意図的に進めましたので、「会心の出来」などと独りよがりしているのかも知れません。学生に加え、同僚教員の意見を聴くことも授業改善には意義あることだと改めて思わされました。
講義の最後に、「本学の教育方針について考えを述べよ」という課題を与え、授業の感想ともあわせて、簡単なレポートを書いてもらっています。前回の環境デザイン学科のレポートの中に、「入学して2ヶ月強経って、初めて本学の教育方針を知った。今日知ることができたため、残りの学生生活を過ごす中で常に心のどこかに留めておきたい」(原文のまま)という感想がありました。また「本学の教育方針である『常に神と共に歩み社会に奉仕する』には、社会、環境、倫理の3つのキーワーズがあり、一つ一つにしっかりとした意味があることを知ることができておもしろかった。『神と共に歩む』では、ばれるばれないではなく、やってはいけないことはやってはいけないに対して、確かにその通りで、そういう心構えを持つことはすごく大切であると思いますが、ばれなければすむこの世の中で、その考えをみんながもつのは難しいと思った」(原文のまま)というレポートもありました。評価と意見が含まれています。
私にとっては最後の講義でしたが、1年生の学生にとっては始まりだったのです。本学の教育方針は50年前の建学時からのものですが、21世紀の技術にこそ大切な視点であると私は確信しております。在学中のみならず、これからの人生で、「心のどこかに留めて」くれれば嬉しいと思いました。ちなみに、景山先生のメールには「私自身、教育方針についての理解が深まりました。感謝」とありました。
4月の「入学式式辞」の補講をようやくやり終えたということでもあります。
追記:講義内容は、2009年5月30日付学長日記に掲載しております。
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2010年6月25日
学生受け入れ、そして入試行事のスタート
4月4日の入学式の後、学科ごとに行なわれるオリゼミ、新年度の特待生そしてスカラシップの授与式など、4月から5月にかけて学生の受け入れに関する行事が矢継ぎ早にありました。履修届で学務部の窓口が学生であふれる時期でもありました。連休で一息入れた後は、新入生全員とチュータの先生方との個人面接がありました。私は新入生とのNS昼食会を8回楽しませていただきました(5月28日学長日記)。この間、イリノイ大学や瀋陽航空航天大学からの短期留学の“新入生“の受け入れがありました。
新しい学生の受け入れに関する多くの行事で毎日がダイナミックに過ぎて行く中で、4号館前庭の木々も若葉から鬱蒼とした深緑色になりました(新装なった本学ホームページのカバー写真の一つとなっています)。折からの梅雨にしっとりと濡れた風情に、この3ヶ月の変化を改めて感じさせられています。新入生一人ひとりにとってはもっと大きな変化の3ヶ月だったことでしょう。
そうこうするうちに来年度の学生受け入れのための入試行事が始動しました。入試行事は大学にとって重要な行事の一つです。来年4月の入学式の源流はここから始まります。高校の先生方を対象とする『入試説明会』も既に始まっており、22日と23日には私は松山と岡山会場の説明会に参加しました。生徒さん、高等学校そして大学の三者が情報を共有し、納得した大学選びをしてもらうためのものです。7月3日には本学で開催されます。今年は、雙鶴堂(そうかくどう・大学茶室:5月6日学長日記写真)で茶会を持つことを計画しております。「技術系大学と茶会」。この組み合わせに私はこれからの技術の深い意味を勝手に感じております。
学生受け入れのための最大の行事は『オープンキャンパス』です。今年も、いつもと変わらないメニュー(写真)ですが、『学長カフェ』を開店します。高校生や保護者、そして高校の先生、はたまたOBなどいろいろな方々との語らいを今から楽しみにしております。昨年の教育懇談会では、本学学生の保護者となられた方から「オープンキャンパスでお会いしました」と声をかけられました(2009年10月16日学長日記)。
最近は保護者の方も多く見えます。保護者の方にも納得した大学選びをしてもらうことは大切なことだと思っております。保護者の方にとっての広島工業大学でもありたいものです。今年は30組の在学生保護者にご参加戴き、現在・未来の保護者同士で話し合っていただく『保護者コーナー』を設けます。その『オープンキャンパス』、今年は7月18日(日)と8月29日(土)に予定されております。

『学長カフェ』メニュー
新学期から夏休みまで。私どもにはあわただしい毎日ですが、18、19の若者にとってはこれくらいのスピードの変化がいいのかも知れません。希望者には、夏休みに母校の『高等学校訪問』をしてもらいます。本学に入学して4ヶ月。立場が変わって“先輩”として出身高校を訪問するのです。後輩や恩師の前では若干の緊張と“背伸び“が求められます。しかし先輩としての”背伸び“は彼らをまたひとまわり成長させてくれることでしょう。彼らに自分でも気付いていない可能性が秘められているのです。
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2010年5月28日
NS昼食会をしました。
今年も昨年に続いてNS昼食会をしました。遠方ないしは先輩の少ない高校からの入学生を対象としておりますが、今年は、島根・鳥取の山陰地域、兵庫以東、九州、岡山と四国4県の8グループの46名と昼食をとりながら歓談しました。5月25日の香川県組をもって終了しました。
「NS」とは、”Not Strangers any more”の略です(2009年5月14日学長日記「昼食会」参照)。「もう”stranger”(よそもの・不案内な人・見知らぬ人)ではないよ」という意味です。”stranger”には、「場違いなところにいる人」というニュアンスも感じられますが、「広島工業大学に入った君たちにはここが居場所なんだよ」と伝えたい思いで始めたものです。
遠方とは言え、多くの人はオープンキャンパスなどを含め、入学前に1、2度は大学に来ているので戸惑わなかったと言っていました。ただ、入学式で初めて大学キャンパスに来たという人もいました。地方会場で試験を受けたためです。広島は九州にあると思って入学したという沖縄出身のつわものがいました。
親元を離れて一人暮らしを始めた人たちばかりですから、いきおい食事が共通話題になりました。私は、お父さんお母さんも一番心配しているから、食事はきちんととるようにと話しました。それだけでなく、「料理は“工学”である」という、かねての自説をぶってしまいました。計画・設計(献立と素材の検討)、在庫確認(冷蔵庫チェック)、素材仕入れ(スーパー買出し)、製作/製造(料理)、完成・納品(食事)そしてメンテナンス(後片づけ)。見事に工学と対応します。段取り・工夫が大切なことも工学そのものです。工学(技術系)の勉強をしているつもりで自炊をしなさいと勧めました。
「1週間の献立をたて、1週間の買出しをすることが食事が片寄らないための秘訣」という体験的自説も押し付けました。その都度買出しに行くと、ついつい簡単なメニューになったり、好きなものばかり食べるようになるからです。もう一つ、「野菜をとること」も強制的に押しつけました。朝は野菜炒め、夕食は水炊き。油をとり過ぎないで炒める方法まで伝授しました。
最後に一人ずつ、「一言抱負」を述べてもらいました。「きちんと勉強して4年で卒業し、就職する」と言った人が多くいました。その中で「これ以上親に負担をかけたくないので」と言った人も数人いました。「口には出さないかもしれませんが、心の中ではそんな思いでいるのですよ」と、お父さんやお母さんに伝えたくなりました。
「夏休みに母校訪問という制度がありますが行ってくれるかな」と聞きましたら、幾人かが手を上げてくれました。広島工業大学の学生となって4ヶ月たった卒業生の顔を見て、高校の先生方はどう思われることでしょう。

NS昼食会
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2010年5月 6日
「ふれあいフェスタ」が開催されました
4月29日と5月1日の両日、『広島工業大学花と緑のキャンパス―ふれあいフェスタ』が開催されました。折からの五月晴に恵まれて、多くの近隣のかたがたが見えました。29日は1500名までは受付で対応したが、その後は把握しきれなくなったという報告でした。また野点(のだて)のお菓子が足りなくなり急遽追加注文をしたという報告も受けました。2日目の1日も似た状況でした。
この催し物は、「広島工業大学の今日あるのは地域のおかげ」という創設者鶴襄先生の発案によるもので、5千本とも6千本とも言われているキャンパスのつつじを地域の方々に見ていただこうというのがもともとの趣旨です。平成6年から始まり今年で17回目となりますが、いまや広島工業大学の年中行事の一つとなった感がします。主役のつつじは満開には今少しは早い時期でしたが、壮観で私も見とれました(写真1)。

(写真1)アゼリア広場前のつつじ
茶道部によるお茶の野点も定番の名物になっております。今年は、部長先生(上田宗箇流)から色紙の依頼を受けました。どのような言葉でもいいということでしたが、「誠実絆朋友」という季節感もない5つの漢字を勝手に並べて書かせていただきました。野点傘の柄にさりげなく掲げられておりました。気恥ずかしい思いもしましたが、この5文字は学長8年目になる私の実感です。50年かかって築かれた本学の学風「誠実」が、本学に関わった人たち「友」「朋」のつながりすなわち「絆」となっているということ。学生から「どう読むのですか」と聞かれました。「『誠実、朋友をつなぐ』とでも読んではどうですか」と無責任な答えをしました。
一見「技術」と関係ない茶室が、新装成った学びの拠点「三宅の森Nexus21」と本学本館の新1号館を背後に従えた光景(写真2)は、本学キャンパスで私が最も気に入っているアングルです。茶室の前庭には、赤い野点傘と床机にかけられた毛氈(もうせん)、そして和服姿の部長が写っております。この光景が「誠実・絆・朋友」という漢字を連ねさせました。

(写真2)茶室(右)と「三宅の森Nexus21」(左)、
本学本館の新1号館(中央)
キャンパスでたまたま話しかけた方が、20年前に土木を卒業した卒業生のお母様でした。現在島根県の高速道路工事現場で元気に働いていると伺いました。また、初老の紳士から「学長先生ですか。私は、オープンキャンパスで先生とお会いしました」と名乗られました。亡くなられた本学教員の義姉さまからも声をかけられました。先生と親しかった職員も交えて、しばらくは先生を偲ぶ話が続きました。
初夏と言ってよい陽気の2日間。陽気以上に明るい晴れやかな気持ちにさせられました。
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2010年4月16日
「可能性」の列に見とれて――新学期が始まりました。
4月3日の入学式を終えて、キャンパスも週明けから徐々ににぎやかになりました。2週目になるとキャンパス全体がいよいよ活気を帯びます。
このところ朝方、学長室の窓からの景色(写真1)にしばらく見とれることがあります。学長室は、新1号館の15階にあります。眼下には、右手に「三宅の森Nexus21」(講義棟)があり、左手にはアゼリア広場があります。アゼリア広場の先には茶室「雙鶴堂(そうかくどう)」が見えます。登校する学生は、雙鶴堂の前を左折してラグビー場との間の道を「三宅の森Nexus21」に向かって歩いてきます。多くは近くの広電楽々園駅から歩いてくる学生ですが、自転車通学の学生も駐輪場に自転車を置いて加わりますので、列をなす様は壮観です。それに見とれるのです。大学への取り付け道路の角にあった附属広島中高校の校舎が撤去されたこともあってその列を岡の下川に架かる五観橋まで目で追うことができます。ちなみに写真中央遠方に見えるのが瀬戸内海に浮かぶ似島です。その形から安芸富士と呼ばれています。
本学は「教育は愛なり」を建学の精神としております。「愛」とは「学生ひとり一人の可能性を信じること」と言っております。15階からは学生の顔形はもちろん認識できません。しかし「可能性」の列が歩いているように見えることがあります。あの列の中にはとんでもない可能性が秘められていると思うと、ついつい、眼下の景色と列に見とれてしまうというわけです。
昨日は、学長キャリアコーナーの任を果たすべく、昼休み、「三宅の森Nexus21」に出かけました。昼休みと言うこともあって、4階のコミュニケーションプラザや3階のラーニングコモンズはにぎわっておりました。4階中庭のテーブルも、少し寒い天気でしたが、食事をしたり雑談をする学生で満席でした。今年は「工大の歩き方2010」を新入生に配布しました。キャンパス・ナビの学生グループによる36ページものの手作りガイドブックです(写真2)。学生に声をかけ、歩きながら、私自身、どんな「歩き方2010」をしたらいいのだろうかと考えさせられました。
とにかく、目にするもの、手にするもの、一事が万事、初々しく新鮮に感じられる新学期です。
(写真1)学長室からの景色

(写真2)キャンパス・ナビ作成パンフレット
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2010年4月 3日
2010年4月入学宣誓式学長挨拶
「友達百人できるかな」
入学・進学おめでとう
広島工業大学入学および大学院入学のみなさん、ご入学おめでとうございます。これまでと違った新しい環境への期待・希望と同時に不安もあろうかと思いますが、私たち教職員・在校生は心からみなさんを歓迎します。一緒にやっていきましょう。
保護者のみなさまにはご子女のご入学おめでとうございます。多くの皆様にご出席いただきましてありがとうございます。見渡しますと2階では立っておられる方が多くおいでです。恐縮です。しばらくご辛抱ください。
友達百人できるかな
みなさんは「1年生になったら、友達百人できるかな」という歌をご存じでしょうか。まど・みちおさんという山口県周南市のご出身の方が作詞された歌ですが、一度は聞いたことがあると思います。新しい環境の中で友達ができるという期待を素直に歌っている歌です。この歌の「1年生」はもちろん小学校の1年生ですが、私は、大学生にもあてはまることだと思っております。むしろ、本学に入学したみなさんには、友達をつくることを小学生以上に期待したいと思っております。というのは技術系ではことのほか「友達」が大切だからです。
時々「人と接するより機械いじりが好きで工学部を選んだ」とか「コンピュータが好きなので情報学部を選んだ」と言う人がいます。しかし、設計する人、製作する人、使う人に説明する人がいてはじめてできるのがものづくりなのです。プログラムも1人のプログラマーが端末に向っていてできるものではありません。技術系の仕事は多くの人とのチームプレイなのです。だから、友達、仲間、チームが、ことのほか大切なのです。そういうこともあって、就職にあっては、自分の考えを仲間に伝えること、すなわちコミュニケーション能力が重要な素養の一つとして求められます。
「共に歩む」そして「奉仕する」
友達づくりはまず自分が行動することから始まります。
社会心理学の研究によれば、だれでも自分を好きになってくれる人を好きになるそうです。これを「行為の返報(へんぽう)性」と言うそうです。返報とは行為に報いることです。この法則に従えば、友達づくりで大切なことは、自分から友達になるということになります。だから「友達をつくる」ではなく、「友達になる」と言った方がいいのかも知れません。自分から人を好きになることです。人を好きになるには、その人といっしょに共に何かをやることが一番です。
広島工業大学は、「常に神と共に歩み、社会に奉仕する」を教育方針として掲げております。広島工業大学は、広い意味での技術系の人材を育てる大学ですから、この教育方針を初めて聞く人は少し変わっっているなと感じられたのではないでしょうか。そこには、「共に歩む」と「奉仕する」という2つの行動を表す表現があります。「共に歩む」ことは共に力を合わせて何か一つのことを行なうことです。そして「奉仕する」ことは、先ほど申し上げました「返報性」でいうところの「人を好きになること」と言っていいでしょう。いずれも、友達づくりの基本となる行動です。「共に歩み、奉仕する」ことによってチームでものごとに当たることの大切さを言っております。それは、技術者にとって本質的に大切なことなのです。
友達づくりの機会
大学でつくる友達は、いわゆる仲間という意味の友達に限りません。専門知識との出会いであったり、研究によって発見・確認した新しい事実であったり、あるいは新しい技術、文化、考え方、そして生涯続く先生との出会いなども広い意味での友達と言ってよいでしょう。広島工業大学のキャンパスには、そのような友達づくりのきっかけとなる環境がたくさん用意されております。
教室での学びの中に新しい知識との出会いの機会があります。また寝食を忘れて好きなだけやってもとがめられない卒業研究や図書館での自学自習には、教室での出会いとは一味違った出会いがあるでしょう。自主的企画活動の「HITチャレンジ」という企画や、海外研修や企業研修といった「外が学びプログラム」は、キャンパスを超えた多様な友達づくりの機会となります。女子学生を中心とした女子学生キャリアデザインセンターも友達づくりのよい機会となっています。
課外活動は友達づくりのきっかけとなっております。本学の課外活動の参加率は36%です。全国の大学平均は30%をきるといわれております。本学の課外活動は、正課の勉強と両立させながらやる活動ですから倍の努力が求められます。しかしそのような中での活動なればこそ、「共に歩む」ことや「社会(仲間)に奉仕する」ことによって友達ができます。
4年後の卒業式、あるいは大学院の修了式には、百人と言わず、今日ここにいる全員が一緒になって、三宅の森でおむすびをパックン、パックンとやりたいものです。
保護者のみなさまへ
保護者のみなさま、広島工業大学は、今申し上げました思いをもってご子女をお預かりしたいと思っています。ただ教育という営みは、本人の努力はもちろん必要ですが、大学、社会、卒業生、とりわけ保護者のみなさまとの協力があって初めて実りあるものとなります。本学では、保護者のみなさまとの懇談する機会として教育懇談会を各地で開催しております。是非ご出席いただき親しく教育について語り合うことができればと願っております。また大学ホームページではホットな情報をみなさまにお届けしております。保護者のみなさまともご一緒におむすびを味わいたいものです。
最後に
考えてみれば、本学の教育方針に言う「共に歩む」、そして「社会に奉仕する」という2つの行動は、ひとり友達づくりに限らず、人間として、社会人として大切な行動です。だから、在学中に「友達百人」が実現したら、立派な社会人でもあるということになります。
新入生のみなさん、今日の今の気持ちを忘れずに、「共に歩む」行動、そして「社会に奉仕する」行動の4年間ないしは大学院の学びの時としてください。百人の友達ができることもさることながら、百人の友達になることを期待して、お祝いの言葉とさせていただきます。
投稿者 : 茂里 一紘 | パーマリンク
2010年4月 3日
「友達百人できるかな」――入学宣誓式がありました
4月3日、2010年度入学宣誓式が執り行われました。例年より早く開花した桜も、途中の寒波もあって、入学式がちょうど満開となりました。寒さがいくらか残っておりましたが、まさに入学式日和でした。
1247名が入学しました。これまで学部ごとに起立してもらっておりましたが、今年から学科ごとに起立してもらうことにしました。できれば一人一人名前を呼び上げたいところでした。
卒業式とは違って華やかさはありませんが、初々しさがありました。何よりも多くの保護者のご出席がありました。椅子が足りず、2階のギャラリーでは立ったまま参列いただくことになりました。多くの方が立っているのを檀上から拝見しお祝いの言葉の中でお詫びを申し上げました。
大学の入学式に保護者が参列することには賛否両論あるところですが、私は、教育という営みは、本人の努力はもちろん必要ですが、大学、社会、卒業生、とりわけ保護者のみなさまとの協力があって初めて実りあるものとなると考えております。入学式は保護者の方々に本学の雰囲気や教育方針を理解していただく絶好の機会であると思っております。来年度は立ち見席に対して何らかの対応をとりたいと思っております。
新入生のみなさんには「友達百人できるかな」と題してお祝いの言葉としました。「友達百人できるかな」は、まど・みちおさんの作詞による小学生向けの歌の歌詞ですが、友達、仲間、チームを作ることは技術系の人間には非常に大切であるという私の認識によるものです。
“友達、仲間、チーム”は、コミュニケーション能力やチームで仕事をする能力の基本です。これらの能力については、大学に入学するまでにいろいろな場面で訓練される機会があったことでしょうが、大学で徹底して訓練する必要があると考えております。
この歌については、いつか入学式に触れてみたいとかねてから思っておりました。意を決して話したお祝いの言葉でした。当日参加できなかった保護者のかたがたにもお読みいただければ幸いです。
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2010年3月31日
平成21年度卒業式お祝いのことば「目を真っ直ぐに向けて」
「目を真っ直ぐに向けて」 2010.3.20
厳しい社会への船出
卒業、修了おめでとうございます。月並みな言葉ですが、みなさんの船出を心から祝福いたします。保護者のみなさまには、最後の学校教育の卒業ということで、これまでの高等学校などの卒業とは違った感慨がおありのことと存じます。高いところからではございますが、心からお喜び申し上げます。またご来賓の皆さまには、ご多忙のところ、若者の船出の式典にお越しいただきまして誠にありがとうございます。
今年度は特に教育改革18によって新設された学部・学科の1期生が社会に船出しますので、教職員にとりまして感慨深いものがあります。
責任的生き方
ところでみなさんは空前の不景気の怒涛の中での就職活動でした。みなさんは、それなりに勉強していたにもかかわらず、就職活動の時になって怒涛のような経済状況に遭遇したわけです。それは、みなさんには直接的には責任のないことでした。いわんや、みなさんの努力でどうこうできる事態でもありませんでした。
私の知人がある冊子に、「人はその出自・生活環境・時代などから自由であり得ない。しかしそれらに身を任せるのではなく、そこで責任的に生きたか否かがその人物の評価につながる」と書いているのを読みました。「出自」とは、でどころ、生まれのことです。これは自分ではどうしようもできません。同じように生活環境や時代からも自由ではないことがあるというのです。「選ぶことはできないが、背負うしかない」とも言えるでしょうか。この方は、しかし、そのような状況の中で、いかに「責任的に生きているか」によってその人の真価が問われるというのです。
みなさんの就職活動を襲ったこのたびの“経済”環境の中で、みなさんは「生活環境・時代などから自由であり得ない」ことを実感されたことでしょう。たまたま見た昨夜のテレビで200社以上の試験を受けたという東京の女子学生が、「1年前に生まれておればよかった」とインタビューで答えていました。選ぶ余地なくこの厳しい経済環境を背負うことになったみなさんは、これからどのような生き方をしていこうとしておられるでしょうか。
目を真っ直ぐに向けて
本学アドバイザリーボードの委員であるある会社の社長さんが、本学に望むこととして、「目が真っ直ぐ向いている学生さんを育てて欲しい」とおっしゃいました。
みなさんは岩崎弥太郎という名前を聞いたことがあるでしょうか。三菱財閥の創始者です。今NHKの大河ドラマに登場しておりますから知っていることでしょう。そのお孫さんの澤田美喜さんは、外交官の奥様だったのですが、第二次世界大戦の後、私財を投げ打って神奈川県の大磯町にエリザベスサンダースホームという児童施設を作り、終戦後の混乱の中で生まれた混血児を預かり育てました。遠足に出かけた時のことです。東京駅のホームに降り立った子供達はみな下を向いていました。澤田さんは「何故みんな下を向いているの!顔を上げて!」と言ったそうです。当時、混血児に対して強い差別がありました。施設に仲間といた時は元気だった子供達も、多くの人が行きかう東京駅では気後れし下を向いてしまったのでしょう。それで、澤田さんは「何故みんな下を向いているの!顔を上げて!」と言ったというのです。
私はジョッギングをするのですが、「ジョッギングではあごを少し出し気味にして上向き加減で走るくらいがよい」という専門家のアドバイスをテレビで聞きました。素人ランナーは疲れてくるとつい下向きになってしまいます。意識して上向き加減に走ってみたところ、前方を見据えることになるからでしょうか、周囲の視野が大きく変わることを体験しました。電柱が1本1本近づいてきます。そして「あの電柱まで」とか、「あの信号まではこのペースで」などと距離感が生れ、計画性を持つことができるようになりました。その後、歩く時も少し上向き加減で歩くように心がけているのですが、こちらに向かってくる人を早くとらえることになるからでしょうか、行きかう人に自然に挨拶をすることができるようになりました。
澤田美喜さんが何故子どもたちに「何故みんな下を向いているの!顔を上げて!」と言った理由、そして社長さんが「目が真っ直ぐ向いている学生さんを」と言った理由がわかるような気がしております。顔を上げて目をまっすぐ向いて歩くことは、自由ではありえない環境ではありますが、先を見つめることになります。先を見つめて生きることは、責任的生き方と言ってよいのではないでしょうか。
たすきを引き継いで
毎年1月、全国都道府県対抗男子駅伝競走大会が広島で開催されます。今年の広島県は、戦前は優勝の下馬評もあったくらいでしたが1区で出遅れ、確か34位だったと思いますが、2区のランナーにタスキリレーされました。みなさんが2区のランナーだとしたら、どう思いながら34位のタスキを受け取るでしょうか。たすきを受け取ったときの順位は、出自や生活環境あるいは時代のように、どうしようもありません。自分の責任ではありません。しかし、出遅れた中で自分の力とペース配分を考え、少しでも時間を縮めて、次のランナーにリレーするのではないでしょうか。広島県チームは、その後の走者が徐々に順位を上げ、4位でゴールしました。
厳しい時代だからこそ若いみなさんがタスキを受け継ぐのです。足元が揺れ出した誇りある日本技術の再生、地方の再生そして厳しい経済状況など、多くの課題があります。それらを受け継ぎ、顔を上げ、目を真っ直ぐに向けて、少しでもリカバリーして次の走者につなぐことは、みなさんの「責任的な生き方」だと思います。誠実にじわじわと追い上げつつ走る生き方は、広島工業大学の「常に神と共に歩み、社会に奉仕する」という教育方針そのものです。
最後に
みなさんが船出しようとしている社会は厳しいことは承知しております。厳しい時こそ企業も真剣です。だからこのような時なればこそ、顔を上げ、目を真っ直ぐに向けて、粘り強く誠実に、自ら学び成長する機会として欲しいと思います。私の観察では、坂道や階段では多くの人は下を向いて歩いています。しかし、坂道や階段で顔を上げ目を真っ直ぐに向けると、平たんな道よりずっと劇的に視野が変わります。これは私の体験です。
みなさんが下を向いているというわけではありませんが、「顔を上げて!」、「目を真っ直ぐに向けて!」ともう一度申し上げて、船出の言葉とさせていただきます。
投稿者 : 茂里 一紘 | パーマリンク
2010年2月20日
学内合同会社説明会が開催されました。
学期末試験そして卒業論文や修士論文の発表が終わり、このところ大学キャンパスはだんだん静かになりつつあります。しかし、2月15日(月)から17日(水)の3日間は、キャンパスに熱気にみちた空間ができました。
3年生と修士1年生を対象とした学内合同会社説明会が開催されました。学内合同会社説明会とは、本学の卒業生を採用する計画をお持ちの企業に来学戴いて、その企業に関心を持つ本学学生との懇談をとおして、双方の理解を深め就職の機会とするものです。開催は今回で6回目になります。15日午後、16日午前、午後、17日午前と4ラウンドにわたって322社の参加をいただきました。
正直言って、昨今の不景気で、はたして何社に参加いただけるか心配でした。しかし、鶴記念体育館体育館に開設されたブースやそこにお見えの企業の方々の雰囲気から、企業の地力と頑張りを見た思いがいたしました。今年の参加企業数は昨年度や一昨年とほとんど同じ数でした(昨年:330社、一昨年:335社)。この数は、理工系大学の大学単独主催の説明会としては西日本最大級です。大学はそのご期待に応えなければなりません。延べ2,000名の学生が参加しました。
私が感動したのは、企画の量的規模もさることながら、今回参加いただいた322社に働いている本学OBの数です。合わせて5,237人になるということです。これは、単に召集をかけて数週間の準備期間で大きくできる数字ではありません。毎年、1人、2人と就職して積み重ねてきた長年の実績です。就職した卒業生が評価されなければその後続く採用はないのです。学生の動きとは別に、ひとり誇らしくかつ嬉しい思いにさせられました。
こうした学生の就職活動について、大学は学生をもっと学業に専念させるべきであるとか、大学は就職の斡旋機関ではないなどといった意見があります。しかし、本学は、就職活動は学生にとって人生で最も重要な1つの活動であり、大学がその手助けをすることは必要なこととの考えで力を入れて取り組んでおります。個人的には、A社、B社を決めるとこと以上に、学生が社会人としての学び・成長の絶好の機会になるとわたしは思っております。就職活動という人生最重要な事象を介在して社会と接することにより、社会に目を開き、自分の生き方を真剣に考える機会となるからです。
参加した学生からは次のステップへと話が進んだとも聞いておりますが、多くの学生の気持ちとしては「出初式」だったかも知れません。考えて見れば4年生(学部生の場合)としての1年間は、大学で学ぶ4年間の4分の1の期間にあたります。今から後に随分と伸びしろがあるということです。社会の窓口である企業と接することによって是非社会人として成長する機会にして欲しいと願っております。

会場の光景
投稿者 : 茂里 一紘 | パーマリンク
2010年2月11日
8通のはがきを書きました。
今日の休日、重い、そして複雑な思いを抱きながら8通のはがきを書きました。昨年8月から先月までの間に保護者を亡くした8名の学生に宛てた見舞い状です。
本学では学生の保護者が亡くなられたとき、学長名でお香典と弔電を届けております。その報告が当該学生記録の写しとともに私の手元に届けられます。お香典と弔電は、大学としての精一杯の誠意を伝えるものですが、規程にのっとった対応(当然ですが)に、何か複雑な気持ちでおりました。愛する肉親を失うということが、二十歳前後とは言え、なればこそ、どんなに重いことか。「慰めと励ましの言葉をじきじきに伝えたい」という思いがあったといえばよいでしょうか。そんな思いから、見舞いのはがきを書いたのが事の始まりでした。しかし、どんな言葉が見舞いや励ましになるのだろう。詳しい事情も知らないまま書くことが、いかに重いことであるかに気付くには1通、2通で十分でした。これまで何とか続けてきましたが、今回は訃報の報告書が「未処理」の箱の中に積み重ねられるままになりました。「後期が始まる時が区切りがいいからそのときにしよう」、それが、「1年の区切りの年末がいい」、「年が明けてからにしよう」になり、そして、ついに「学年末試験も終わりましたがいかがですか」という文面になってしまったという次第です。
お父様が亡くなられてから半年以上にもなる学生もいますので、書く文面が1人1人違ってきます。大学のカレンダーだけでも、1年生から3年生には「学期末、学年末」となりますが、4年生、M2(大学院修士課程2年生)には、卒業や修了の時期になります。卒業論文や修士論文の提出や発表を間近に控えている時期か最中となります。3年生にとっては卒業研究着手の可否がわかる時期になります。就職のこともあります。1年で一番デリケートな時期なのです。「何を書けば見舞い状になるのだろう」、そう思いながらも、「ただこの時期を逸すると機会はなくなるぞ」と自分に言い聞かせて書きました。
生きとし生きる者にとって愛する者との死別は避けられないことです。しかし理解とは別に納得いかぬ場合が多いのが現実です。指導の先生方や学務部からの情報では8名全員それぞれがんばっているということでした。「学長、期末試験や卒業研究のとりまとめでそれどころではありませんよ」と言ってくれるなら嬉しい。結局、今回も、「初志を遂げることがお父(母)様への何よりのご供養と思います」と、月並みにしか書けませんでした。
中野武登先生直筆の「学園草花シリーズ」の絵葉書を使いました。その一つが「ふきのとう」でした。ふきのとうに関して次のような歌と俳句が紹介されておりました(本学ホームページ「学園草花シリーズ」より)。
さざれ水うねれる岸に蕗(ふき)の薹(とう)
三つ四つ見えて小雨に濡るる
窪田 空穂
蕗(ふき)の薹(とう) 雲の茜は空にのみ
馬場 移公子
小雨に濡れながら、さざれ水がうねる岸にへばりつくように芽を吹き出している蕗(ふき)の薹(とう)は、八つあります。夕日に映えた西方の茜雲の合間から、それが見えますか。
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2010年2月 1日
入学前セミナーが始まりました。
先月末、一般入試A日程の入試がありました。入試本番の季節です。しかし本学ではすでに特別推薦やAO入試で本学への入学が確定している生徒さんたちも多くおられます。
AO入試合格者を対象に、本学独自の「Brush-up and Letters」というプログラムを実施しております。「Brush-up」は、基礎学力の復習・増進を目的としたもので、入学までの間、都合2往復のやり取りによる添削指導によって入学後の学びに備えるものです。また「Letters」は専門分野のトピックスを題材として大学教員とやり取りしながら、専門の学びへの意欲を高める趣旨のものです。
これらはいわば通信教育による入学前セミナーですが、本学では面談教育での入学前セミナーも行っております。今日はその先陣を切って開始された広島工業大学高等学校での入学前セミナーの開講式に出席しました。私は次のような挨拶をしました。
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入学前セミナーは折しも今日から始まったプロ野球のspring campと同じものです。基礎的なことの学びによって筋肉をほぐし、シーズンの開幕に備えるものです。基礎的なことであってもそれを丹念に学ぶことによって力をつけることが目的です。野球で言えば(専門的なことはわかりませんが)、例えばもともとカーブは投げることはできる、しかしこの時期に、改めて直球と比較したりしてそのより効果的な投げ方について研究し、威力を増すようにする、そのようなことです。
1月半ばでしたでしょうか、西部ライオンズに入団した花巻東高校の菊池雄星君が合同自主トレを始めたという報道がありました。本当にうれしそうにランニングや投球をしている彼の姿と笑顔が印象的でした。みなさんと同じ高校3年生です。プロの世界についていろいろ不安がないといえばうそでしょう。しかし彼にはこれから始まる新しい世界や野球に対する思いがそれ以上に強く、あのようにうれしそうな顔になったのでしょう。
英語で、”looking forward”という表現があります。辞書には「期待する」、「首を長くして待つ」と書かれております。日本語では「待つ」という言葉が入っていますが、英語では文字通り「前方を見る」です。雄星君は、プロの世界での晴れ舞台を、”looking forward”、前方に見ているのです。だから、今ランニングや投球練習をする顔があのような顔だったのです。
話は変わりますが、今年の正月、特別推薦で本学に入学してくることが決まっている3人の生徒さんから年賀状をもらいました。長い大学教員生活で、入学予定の生徒さんからの年賀状は初めてのことで、感動しました。それには「本年度は、貴学の学生として自分の目標に向かって努力しますのでご指導よろしくお願い申し上げます」とありました。これからの大学での本格的な学びを前方に見ている、雄星君と同じ”looking forward”の顔(文面)でした。学びへの意欲を高めることは入学前セミナーのもう一つの目的です。
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以上のような挨拶をしました。3月からは広島会場(本学)と松山会場の入学前セミナーが始まります。入学前セミナーは「前を見て、これから起こることを楽しみにする時」。会場は変われど同じ思いでおります。
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2010年1月25日
防災訓練を行いました。
1月19日、午前の授業終了直前の時間帯に、新講義棟三宅の森Nexus21で防災訓練を実施しました。新講義棟は耐震構造の上、防災についても最新・最大の配慮がなされておりますが、何しろ総数約8000席を持つ10階建ての建物です。常時、2~3000名が滞在しております。4月から供用しておりますので、本来ならばもう少し早い時期に訓練を実施すべきでしたが、行事などの関係でこの時期になりました。年末年始をはさんで多忙の中、事務局がよく準備してくれました。
当日は、12時15分、地震が発生し、3階で火災が発生したという想定で実施しました。私は、防災センターからの指示を視察しておりましたが、ハイチの大地震や神戸淡路大地震15年の直後でもあったことから、訓練とは言え、緊張した雰囲気を感じました。教職員と学生諸君の協力もあり、全階から全員退避したのを確認して無事(と言っても変ですが)終えることができました。
訓練に駆けつけていただいた広島市佐伯区消防署の方(本学の卒業生でした)からお聞きしたことですが、何よりも大切なことは日ごろから防災の意識を高めておくことだそうです。そのためには、テレビや新聞などで報道される災害に関心を持ち、自分はそのときどうするか考えること(シミュレーション)がよいということでした。また大災害の時は、消防署は当てにならず、地域ないしは事業所で自衛的に対応することになるということでした。大学もその覚悟を持って対応しなければならないことを改めて思わされました。
ところで、自校教育論の中の「倫理」について、私は「倫理訓練」という表現を使って講義をしております。どんなことであれ、冷静に考えれば、やっていいことか悪いことかはだれにでもわかる。しかし、例えばだれも見ていない、ばれないだろうなどと思う一瞬の思い(災害で言えば一種のパニック)がとんでもないことをさせてしまう。後で考えると、なんと馬鹿なことをとすぐ気付かされる。倫理とはそういうものだ。だから、日ごろから、いろいろな出来事に対して自分ならどうすると考えなさいと話しているわけです。防災訓練になぞらえてそれを「倫理訓練」と言っています。今回防災訓練に参加して、改めて倫理は防災と同じであると思わされました。防災も倫理も、一瞬の冷静な判断ができるかどうか、紙一重の対応の違いが生死を分けるということです。「倫理訓練」はいい表現だと妙に納得しました。
防災訓練を一回したからといって防災が保証されるわけではありません。日ごろから意識を高めておくためにも、これからも折をみて、場所も変えながら実施する予定です。
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2010年1月 6日
あけましておめでとうございます。
2010年の活動が再開されました。と言っても大学は4月が新年ですので、世間の感覚で言えば、「年の瀬が迫り1年のまとめと新年を迎える準備に忙しい」といったところです。
4日の仕事始めでは理事長の新年挨拶がありました。今年から、大学のデネブホールで学園内7つの大学・学校の教職員が集って行われました。また今年は、大学食堂でもちつき大会もあり、雰囲気は、「中期的運営目標」(後述)にうたう「明るさとダイナミックスに満ちた学び空間」そのものでした。

もちつき大会
5日には、新年の教授会が開催されました。私が年頭挨拶をすることになっておりますが、例年、新年度の運営計画の概要を紹介することとしております。運営計画は、正式には「鶴学園中長期的運営大綱に基づく平成22年度の運営計画概要」と言い、大学の次年度計画として理事会に提出し、それに基づいて詳細計画が立てられ予算化されるものです。構成員で共有することが何よりも大切だと考え、例年新年の教授会で説明させてもらっております。
「平成22年度の運営計画概要」は、22年度の運営計画ですが、そのもととなるものとして、「中期的運営目標」を立てております。「中期」とは平成18年度から22年度の5年間を想定しており、22年度はその仕上げの年となります。
「中期的運営目標」では、(1)存在感のある大学として、広義の技術系社会人づくりに貢献、(2)特色ある教育の実施(HIT教育ブランドづくり)、(3)明るさとダイナミクスに満ちた学び空間づくりの三つを基本方針として掲げております。
(1)は、一定数の卒業生数を社会に送り出すことがその内容となっております。質、人数ともに、地域にあって伝統ある技術系大学として社会に貢献するということです。『地域に育てられ、地域に貢献し、世界に羽ばたく』という思いでおります。
(2)は、HIT教育機構を中心として全学挙げての“学びの創造”にかかわり、広島工業大学(HIT)の教育ブランドを作っていくというものです。
(3)は、課外活動および学生の自主的な活動、研究の活性化、そして学生満足度の高い学びの場、気持ちよく働ける職場を内容としておりますので、新年もちつき大会がそれにふさわしい行事だったというわけです。その場では、和太鼓の演奏を伝承するクラブ「鼓遊会」諸君の太鼓演奏もあり、その感を強くさせてくれました。

鼓遊会の太鼓演奏
「平成22年度の運営計画概要」は、教育、研究、大学運営など10項目の多岐にわたりますが、22年度は特に新しい事項として、「創立50周年記念事業の推進」という事項をあげております。平成23年4月1日に前身の短期大学の開学から数えて50年となります。そのための事業の企画及び実施にとりかかるというものです。「ありがとう50年、Nexusきずな」といった想いでおります。
新年を迎えたとは言え、大学にとっては「年末」です。これから来年度受け入れ学生のための入試、また、今年度は特に未内定のまま年を越した卒業予定者の就職等、大学にとって重要な業務があります。皆で力を合わせてやっていこうとお願いして、私の新年の挨拶としました。
週明けには学生諸君もキャンパスに帰り、キャンパスはまた明るくダイナミックスに満ちた空間になることでしょう。それからが新年本番です。
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2009年12月24日
佐伯区との連携協力の調印式がありました。
12月18日、広島市佐伯区役所と広島工業大学との地域連携協力に関する協定書の調印式が執り行われました。佐伯区役所からは重藤吉久区長さま他5名、本学からは私のほか3学部長と事務局次長、そして十数年前から「地域とのコイン通りまちづくり委員会」等を通じて地域の街づくりに関わっておられる菅原辰幸教授(環境学部地域環境学科)が列席しました。
佐伯区は本学にとって文字通り地元です。本学の創設者である鶴襄先生は、ことあるごとに、「本学があるのは地域のおかげ」と言っておられたとのことです。鶴襄先生にとって「地域」とは、地元の五日市町であり、佐伯区であり、広島市・広島県であり、中国四国地方でしょうが、「地元」にはことのほか感謝の気持ちを持っておられたのです。短大(本学の前身)を開設する時、五日市町三宅の地主の方たちに、「私のための学校ではないのです。尊い先祖伝来の土地を手放されることは大変でしょうが、次世代を背負う立派な国民を育てるための教育機関でありますから、どうか一つ、学校を建てることに協力してください」と膝を突き合わせて熱心にお願いしてまわったと記録にあります。
本学は2011年に創立50周年を迎えますが、地域の子どもたちを対象として本学学生がお世話をして開催している「少年少女球技大会」は今年で31回目となります。また「少年少女剣道大会」は30回目となります。鶴襄先生から、「地域のために力になってあげるように」と言われて、菅原先生も五日市のまちづくりに関わるようになったそうです。大学が「地域連携」とかまびすしく言い出し始めたのはここ10年くらい前からのことです。本学の地域連携は、開設当初からの「地域のおかげ」、そして教育方針の「社会に奉仕する」によるものなのです。
調印式が行われたのは本学の新講義棟「三宅の森Nexus21」でした。「三宅の森」は、開学当時森であった大学の所在地、佐伯郡五日市町三宅のことです。建学の初心です。「21」は21世紀の人材です。その二つを「Nexus」する(つなぐ)場所という意味です。調印式の後、卒業研究としてまちつくりの研究に取り組んでいる平田ゼミの学生たちがテレビのインタビューを受けていました。何のことはない。「次世代を背負う立派な国民を育てる」という「三宅の森」と、21世紀を担う学生たちは、佐伯地域を舞台に50年も前からつながれているのです。調印式はその確認だったのです。
「ありがとう50年、Nexus・きずな!」。そんな思いが去来しました。
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